平日でも大人気!?食べ方いろいろヘルシー麦!
(株)もちむぎ食品センター
松井永敏氏インタビュー
もちむぎ食品センターは、兵庫県福崎町でレストランやもち麦製品を販売する売店、麺工場が併設された「もちむぎのやかた」を運営している第三セクターだ。福崎町は、民俗学者である柳田國男の出生の地として知られ、姫路駅から電車で数十分、自然豊かな土地は柳田が研究し、自伝「故郷七十年」に登場する河童をはじめ、天狗や座敷童子など多くの妖怪伝説が残る。
これにちなんだ村おこしの一環として、特産の「もち麦」を使い、村おこしを盛り上げることができないかという思いから福崎町、商工会、JA兵庫西の3者が出資する第三セクターとして1990年に設立されたのがもちむぎ食品センターになる。「もち麦」を広めるため、「行政(福崎町)、生産者(農協)、経営(商工会)が力を合わせ、助言を受けながら運営を行っています」と松井永敏部長は話す。
今でこそスーパーでもよく見かけるようになり、健康効果も浸透するもち麦だが、当時はまだそれほど認知されていなかった。一方、福崎町では、もち麦をすりつぶして粉状にし、その粘性を活かして団子汁にした「ひっつみ」が郷土料理として食されてきた。「もちむぎのやかた」では、こうした料理の提供に加え、さまざまな製品を開発してきている。一つが、「もちむぎ麺」。その名の通り、もち麦は、粘性のあるモチっとした食感があり、これが製麺においては障害になる。そこでそうめんの産地としても知られる播州(兵庫県南部)の手延べ技術と、伝統的な石臼製法を受け継ぐ独自の製法を編み出し、これを実現した。
うどんやそばとも異なる独特のコシや食感、香ばしい風味を特徴にする「もちむぎ麺」だが、開発当時は大麦を使った麺はめずらしく、製品は92年に農林水産省の後援で行われるふるさと食品全国フェアの「優良ふるさと中央食品コンクール」で食品流通局長賞を受賞している。12年には兵庫県の「ひょうご推奨ブランド」の認証も受け、県外への発信に向けた後押しも得た。
ほかに人気商品となっているのは精麦。ごはんに混ぜて炊く食し方が知られるが、茹でたものを冷凍し、サラダやスープに入れることで独特の食感や香りのアクセントになるという。これ以外にも、もち麦粉を使ったどら焼きやカステラ、もち麦を炒って粉状にした「はったい粉(煎り麦)」を混ぜて香ばしさをだしたソフトクリームなど、もちむぎの特徴を活かした商品を販売している。もちむぎ麹で作ったもちむぎ焼酎もある。
こうした中、新たな可能性を引き出すために取り組んだのが機能性表示食品だった。もちむぎは一般的な小麦と比べ、高たんぱく、高ミネラルで知られ、水溶性食物繊維の一種であるβ―グルカンを豊富に含み、さまざまな健康効果が期待される。その中から「食後の血糖値の上昇を穏やかにする」という機能で届出を行った。
「もちむぎのやかた」の設立は95年。オープンを控えていた同年1月に阪神・淡路大震災に見舞われ、2月に開店しているが「当時は商品が入ってこないなど苦労があったと聞いています」(松井さん)。それから30年。今では、独自に採算が確保できるまでに成長している。松井さんは、「観光面では天狗や河童などさまざまな仕掛けを少しずつ作り、地道な活動を含め行政、生産者、事業者が一体となり、ようやく認知を得て、お客様に来ていただけるまでになりました。お客様に愛され、喜んでいただいている日々の実績を積み重ね、今後もさまざまな発信を続けていこうと思っています」と話す。
■もちむぎ食品センター■
「ふくさきのもちむぎ」
機能性関与成分名:大麦由来β-グルカン
食後の血糖値の上昇をおだやかにすることが報告されています。
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