水溶性と不溶性『Wの食物繊維』で腸活!
JA北大阪
村上智洋
「これを入れたらご飯がスーパーすぎるんです」。そう話すのはJA北大阪の村上智洋さんだ。販売する商品は、その名の通り、「農協のスーパーすぎるごはん」。いかにも関西らしいストレートなネーミングだ。機能性表示食品として受理されたのは2022年10月。農業・食品産業技術研究機構(農研機構)が開発したもち麦を使っている。食物繊維の一種である「大麦由来β―グルカン」を含み、「食後の血糖値の上昇を穏やかにする」という機能を表示する。ただ、〝スーパー〟なのは、機能だけではない。機能性をうたうもち麦を使った製品は数あるが、JA北大阪では大阪府立大学(現・大阪公立大学)との共同研究で独自に開発し、商標登録する「WE米」を合わせて配合して製品化している。
「WE米」は、通常の米より食物繊維を豊富に含む。可食部100gあたりの食物繊維量は36.7g。実に約4割が食物繊維で、穀物の中でもトップレベルに高い。また、食物繊維は、腸内細菌のバランスを整える「水溶性」と、腸の運動を活発にする「不溶性」があり、体内で異なる働きをすることからバランスよく摂取することが重要とされるが、これをバランスよく含んでいることも特徴だ。中性脂肪の低下に働きかけるとされるポリフェノールの一種であるγ―オリザノールの含有量も、通常の玄米の約2倍。商品は、雑穀米などと同じように米1~2合に1袋(28g)を入れて炊飯するだけで、機能を発揮する成分量を摂取できる。
加えて、商品は「アルファ化」している。「アルファ化」とは、炊いた米を食味が劣化する前に急速に乾燥させる加工方法である。炊き上がりの米の旨味を保ちつつ長期保存が可能で、水分を足すだけで元通りのご飯に戻すことができるものだ。これにより、もち麦特有のゴマのような粒感を感じる独特の食感も改善している。「健康によいものは、その時食べたらすぐに効果がでるものではありません。習慣の積み重ねで不調が表れるのが生活習慣病とすれば、逆に習慣の積み重ねで健康になることもできると思います。機能を高めることで健康への好影響は期待できますが、主食として飽きることなく継続してこそ意味がある。日常的に食べる習慣に組み込んでもらいたいと考えました」(村上氏)と、食味にこだわり、研究と試食を重ねて開発した。
きっかけは、2018年に起きた農協改革の波だ。時代に合った農業を続けていくため、農協では、農家の所得の向上を目標に掲げた。実現に向けた営農指導が模索される中で検討されたのが、一つはコスト削減による収益性の向上を図ること、そしてもう一つが従来のコストを前提により高く買い取り、流通させることができる高付加価値の農作物の推進だった。こうした中で、大阪公立大学がかつて健康づくりに役立つ米として研究を進めていた「Waxy Amylose Extender」という米の研究や試験栽培に共同で取り組むことになった。村上さんは、当時を「大変な思い半分、勉強になった面が半分。何度か折れかけた」と振り返る。米は米でも従来のやり方はほとんど通用しなかった。田植えから収穫まで新しい栽培技術の普及に向けた栽培暦の蓄積に3年を要したが、「取り組みが農家の所得向上につながればやりがいも生まれます。農協としての責務を米作りという基本的な部分で果たせれば」との思いで進めてきた。
付加価値を高めた商品はこれにとどまらない。「農協の飲めるごはん」は、「農協のスーパーすぎるごはん」同様、お米で面白いことをやっている、と関心を引く狙いからネーミングに一癖ある商品だが、開発に向けた思いはいたって真剣だ。開発は今から28年前、阪神淡路大震災の頃にさかのぼる。「災害時に何が困るかというと、まず食料品の確保です。ライフラインが寸断され、救援物資もすぐには届かない。ビスケットや乾パン、加熱や加水が必要なインスタント食品は水がないと食べづらい」(村上氏)。そうした過酷な体験を背景に生まれた飲めるごはんは1缶で150カロリー、ちょうどご飯1杯分の栄養と水分が同時に摂取でき、子供や高齢者も飲みやすいような風味付け、アレルギーにも配慮している。
農業従事者がやりがいを感じる作物の開発や労力の削減など、適切な営農指導は時代とともに変化する。従事者の高齢化などの課題もある。JA北大阪では、持続可能性などSDGSを意識した営農指導を目指しつつ、地域の特産品として「WE米」の普及を図ることで、地域農業の活性化につなげることを目指している。
■JA北大阪■
「農協のスーパーすぎるごはん」
機能性関与成分名:大麦由来β-グルカン
大麦由来β-グルカンは食後の血糖値の上昇をおだやかにすることが報告されています。
購入はこちら↓
https://www.ja-town.com/shop/g/g5301-26/
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