2023 01 18

日本初!絶対食べたくなる機能性天然魚「大トロイワシフィレ」

池下産業株式会社

代表取締役社長 池下藤一郎氏


 水産加工メーカーの池下産業は、最新の瞬間冷凍技術などを採用した独自の品質管理により、鮮度を維持した冷凍イワシ「大トロいわしフィレ」を販売している。

 本社を構えるのは、北海道の港町、広尾町。「幼少時代からイワシは身近な存在だった」と話す池下藤一郎社長が冷凍イワシに取り組んだきっかけは、漁港で水揚げ作業をする漁業関係者のある光景を目にした時だ。

「イワシは年間を通じて全国津々浦々の漁港で水揚げされます。それなのに、漁師の人達が10月に北海道で水揚げしたイワシをわざわざ氷詰めにして地元に送っているんです。不思議に思いました」。尋ねると、「〝日本全国みても北海道のこの時期に獲れるイワシほど脂ののったイワシはいない。産卵前だから身も厚く、脂が乗っていておいしいんだ〟と。それほど特別であれば、どこにもないイワシを世界中に発信できる」と思い、冷凍イワシを思いついた。

 なぜ冷凍なのか。当時からすでに冷凍技術はあったが冷凍イワシはそもそも需要がそれほど高くはなかった。全国で水揚げされ、流通しているため、そもそも冷凍品を買う必要がないためだ。一方で、「鰯」は読んで字のごとく、鮮度落ちが早い。鮮度にばらつきがあり、当たり外れの多い魚という認識も定着していた。獲れたての魚を最もよい状態で冷凍することができれば新鮮な魚を一年中味わうことができ、世界に向けて発信することができると考えたという。池下産業では、漁船の協力を得て、水揚げ前の獲れたてのイワシの鮮度を水槽で維持するところからはじめ、まだ卸先すら決まっていない段階から十数億円をかけて最新の瞬間冷凍技術を採用した工場をつくった。つくったのは、漁港に持ち込まれるイワシの品質の高さに裏打ちされた自信があったからだ。

 通常、冷凍技術でイワシの身に含まれる水分をゆっくり凍らせると、身の中の水分が膨張し、細胞壁が破壊されることでドリップの原因になる。このことが旨味成分や栄養価の低下など品質の変化を招き、細胞壁が壊れることで冷凍特有のバサバサした食感につながるという。池下産業では、マイナス120度の液体窒素で瞬間凍結する独自技術により、身に含まれる水分が膨張する前に凍結してしまう。細胞壁の破壊を最小にとどめ、食味や栄養など品質低下を招くドリップがまったく出ず、素材本来の品質を維持して、柔らかな身と適度な油分を特徴にする。独自の仕入れルートの開発や瞬間冷凍技術の導入などの努力を積み重ね、水揚げ直後の状態に並ぶ鮮度と旨味を引き出している。

 一方で近年、日本人の食習慣は全国的に魚離れが進んでいる。どうしたら食べてもらえるか。健康意識の高い層にアピールできればと考え取り組んだのが、機能性表示食品だった。イワシに豊富に含まれるDHA、EPAのメリットを知ってもらうことができれば、北海道のイワシを知ってもらう武器になると考えた。機能性表示食品として、天然魚では国内で初めての受理となる。機能性関与成分としてDHA、EPAを含み、「中性脂肪を低下させる機能があることが報告されています」という表示を行う。

 制度活用には課題もあった。養殖のイワシと違い、天然のイワシはDHA、EPAの含有量を餌によってコントロールできないことだ。そこで3年間ほどデータを収集し、この冬の時期に獲れるイワシは成分量のばらつきが少ないことを証明しなければならなかったという。

 商品は現在、本社を構える北海道の港町、広尾町のふるさと納税で販売されている。広尾町はカニやししゃも、サケなど豊かな海産物が特産品だが、露出が少なく、手に取ってもらう機会が少ないなど地方特有の悩みを抱えている。今回、機能性表示食品を取得したことで、「大トロいわしフィレ」の問い合わせが多く寄せられていることを受け、オンラインショップを開設。町全体の活性化など地域創生の一翼を担いたいとの思いで展開する。


池下産業株式会社

http://revofish.com/