食べないと損!ぎゅっと凝縮甘さが自慢の温室マスクメロン
靜岡県温室農業協同組合
鈴木一郎 / 長瀨義孝
日本国内で贈答品としての利用など高級メロンの代名詞とされる「マスクメロン」。海外で品種開発され、日本に持ち込まれた後、静岡県温室農業協同組合の前身である磐田温室農協丸静支所で初めて栽培方法が確立され全国に広がった。磐田市は、いわばメロン発祥の地といえる。静岡県温室農協では、磐田市で生産された「アローマメロン」、隣の袋井市で生産された「クラウンメロン」の2ブランドを展開している。
その静岡県温室農協では、メロンで初めて、機能性表示食品の届出が受理された。メロンにGABAが豊富に含まれることから、「仕事や勉強による一時的な精神的ストレスを緩和する」といった機能を表示している。同農協磐田支所の支社長である鈴木一郎氏は、「1日90g、だいたい8分の1玉を目安に食べることで、機能を発揮するGABA28mgを摂ることができます」と話す。
メロンで「ストレス緩和」というのは意外だが、県の農林技術研究所が調べたところ、GABAの含有が確認されたという。ただ、夏のGABA含有量が保証されても、冬のメロンには含まれないとなれば制度の活用は難しくなる。研究所と連携して調査を進める中で「1年を通じて一定量含まれることが分かった」(鈴木氏)という。農林技術研究所による試験で1年間にGABAの含有量の検査に使われたメロンの数は196玉。決して安いものではないため生鮮食品による制度活用ではこの点がハードルになったという。
メロンの生産量が最も多いのは茨城県、アンデスメロンで知られる熊本、夕張メロンで知られる北海道が有名だが、温室で栽培するメロンは静岡県しかない。露地栽培のメロンは、一茎から複数のメロンを栽培するため、生産量も多くなる。静岡県のメロンの特徴は、「一茎一果」。「栽培の過程で多くの花芽ができますが、これを3つほど残してすべて採ってしまい、しばらく経つと、花の子房が卵ほどの大きさになります。1つの子房に養分を集中させることで、味が濃くなりますので、おいしさを凝縮するため一番よい子房を見極めて一つだけ残します。ですので手間もかかり、高価になります」(鈴木氏)という。このとき摘んだ2つの子房は「子メロン」として漬物などに使われる。
一方で、ガラス温室栽培のため、季節を問わず、通年で安定的に生産できるメリットもある。一般的なビニール栽培より日の光を多く吸収するため、甘く芳醇な果肉になるという。冬季は気温や日照時間の影響が強く反映されるため、「どの温室も向きは東西に揃えられていて、屋根は南側の斜面が長く4分の3を占め、北側が短いという特徴があります」(同)という。
また、高糖度のトマトなどと同じように、メロンも水分を少なくすることで、玉は小さいがおいしさを凝縮できるという。「『隔離ベッド』といって地面から離した高床で、少ない土の量で栽培する」と副支社長の長瀬義孝さんは説明する。有機質の肥料や、稲の藁を細かく切って独自の堆肥をつくるなど土壌づくりからこだわるという。メロンは病害に弱く、雑菌の多い土壌では栽培に影響するためだ。露地栽培のメロンは、薬剤により消毒をするが、高級メロンを扱うため薬剤は使わず、高温の水蒸気を土壌に含ませることで殺菌し、一旦、無菌状態にした上で、栽培に適した菌を混ぜる。
そこまでのこだわりは、この地域に昔から根づく「やらまいか(遠州弁で、やってやろうじゃないか)精神」があるからだという。「メロンの農家の方々にも同様の精神があり、当時、とても高価だったガラスを買って、陽の透過度の高いガラスの温室栽培の技術をつくりあげてきた」(長瀬氏)と話す。
■静岡県温室農業協同組合■
http://www.melox-shizuoka.or.jp/
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「アローマメロン」
機能性関与成分名:GABA
GABAには仕事や勉強による一時的な精神的ストレスを緩和する機能があることが報告されています。