2023 06 26

美味しい卵の背景にある鶏の福祉や働く環境を整える

株式会社緒方エッグファーム

緒方克也


緒方エッグファームは、農業が盛んな熊本県合志市にあり、周囲を田園に囲まれた小高い竹山で養鶏場を営む。2022年1月、生産する鶏卵「竹林かぐや姫 平飼いオメガ有精卵」で機能性表示食品の届出が受理された。機能性関与成分としてオメガ3脂肪酸であるDHA、EPAを含み「中性脂肪を下げる」といった機能を表示する。商品の鶏卵はほかに、ケージで育てた鶏による「竹林かぐや姫たまご」、亜麻種子を配合したオリジナルの飼料で育てた鶏による「竹林かぐや姫オメガたまご」の3種類を扱う。いずれも健康な鶏が健康な卵を産むとの考えから飼料や飼育環境にこだわり生産している。自社農場のほか、地元高級百貨店でも販売しており、週末になると遠くは大分や福岡から多くの顧客が購入に訪れる。


養鶏業は戦後、現代表の緒方克也さんの祖父がこの地で始めた。克也さんも幼い頃から中学生の頃まで休みになると父親に連れられ、養鶏の手伝いをしていた。ただ、当時は、「手伝いがとても嫌だった」という。克也さんは、「生き物相手の商売で休みもなく、小さい頃に旅行に行った記憶は1回きり。当時はサラリーマンの家庭が羨ましく、絶対自分は養鶏をしないと思っていました」と振り返る。そんなことから家業は継がず、畑違いである航空機の整備士として約10年を過ごした。ただ、結婚や子供の誕生など生活環境の変化を機に、養鶏に対する思いにも変化が生じた。「よい意味で自由に、自然が豊かな環境で仕事ができることを魅力に感じ、子供にとってよい環境といえるのではないか」と、軽い思いで家業を継ぐことを決めたという。

ただ、実際に取り組むと一筋縄にはいかなかった。「父親ともたびたび衝突し、最初は鶏舎で使う機械の修理ばかりしていました。また、朝は夏であれば5時頃、日の出とともに起床して鶏の世話をするわけですから、自分が鶏を飼うというより、自分が鶏に飼われているんじゃないかと思うほどでした。家業を継がなければよかったと何年も思っていました」と話す。

当時は、今の3倍ほどの鶏を飼育していたというが、こうしたやり方が今後も通用するのか疑問を抱いていた頃、自分の育てた卵を直接、消費者に届けるような商売をしたい、と思う中で転機が訪れる。フランスで面白い畜産の取り組みを行っている農家がいるという話題が上がり、欧州視察の話が舞い込んできた。その視察で訪れたフランスで見たのは、広大な農場で約2万羽もの鶏がすべて放し飼い(平飼い)にされている光景だった。「奥さんと二人で管理されていましたが、1日何時間仕事をしている?と聞くと『3時間しかしていない』と。それはとても衝撃でした。その後、卵の充填やスーパーの視察もしましたが、生産者ごとに鶏卵が分けられ、パッケージには生産者が紹介されていました。生産者のことが消費者にちゃんと伝わっているのが強く印象に残りました」(克也さん)。

フランスの養鶏のあり方に衝撃を受けた克也さんは、帰国後、さっそく平飼いで飼育してみると、ケージ飼いした鶏と比べ死んでしまう鶏が少なく、目に見えて産卵成績がよいことが分かったという。健康な鶏の生育が鶏卵の品質に影響するとの信念を強くし、竹林に囲まれた飼育環境、飼料にこだわり、今では、約2万㎡の土地で平飼いと鶏舎を運営している。

こうして生産した商品には「竹林かぐや姫」という名称をつけた。パッケージも、養鶏の取り組みが少しでも伝わるよう、ナチュラル感のあるものにしている。明確な機能を表示できる機能性表示食品制度の活用もその一環として取り組んだもの。「農場の雰囲気や働く人、自然や鶏舎の環境もそうですが、話して伝える以上に飼育現場を見て感じることが重要だと思い、見学希望者にはいつでも見学できるようにしています。そしてこのことが消費者の安心感や信頼感の醸成につながっているんじゃないかと思っています」(同)と話す。




■緒方エッグファーム■

https://www.ogataegg.jp/

「竹林かぐや姫 平飼いオメガ有精卵」

機能性関与成分名:EPA‧DHA

EPA‧DHAには、中性脂肪を下げる機能があることが報告されています。

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https://shop.ogataegg.jp/