2023 07 05

甘さのヒミツは産毛にあり!高糖度フルーツトマト「トリコ」

よしかファーム株式会社

寺阪剛


島根県吉賀町でトマト生産を営むよしかファームは、フルーツトマト「tricho(トリコ)」を生産している。生産するトマトは、「アイメック農法」で作られ、高糖度・高栄養価を特徴にしている。土を使わず、特殊なフィルムの上で育てることで、トマト自身が糖分やアミノ酸を作りだすというものだ。「トリコ」は、カリウムやビタミンA、ビタミンC、葉酸などの栄養を豊富に含み、22年6月には、機能性表示食品として届出が受理された。GABAとクエン酸という2つの機能性関与成分を含み、GABAは、「仕事や勉強による一時的な精神ストレスや疲労感の緩和」や「高めの血圧を低下させる」という機能表示、クエン酸は「運動後の一過性の疲労感の軽減」、「日常生活で感じる疲労感の軽減」という4つの機能を表示している。商品は、独自に作成したマスコットキャラクターのイラスト、各栄養素の含有量を測定した上で、その高さを打ち出したパッケージで販売している。


生産されるトマトは、実は皮が厚い。人により好みは分かれるが、果皮に栄養素が豊富に含まれているため、あえて皮の厚さを特徴としている。よしかファームは、これまで大阪・枚方市を拠点に工業用ゴム製品や樹脂製品の製造・販売を行ってきた共和ゴムが手がけている。同社の2代目である寺阪剛さんは2004年に家業を継いだが、当時は売上規模が3億円ほどだった。その売り上げが10億円を超えるのをめどに、トマト生産による事業の多角化を構想し、07年頃から従業員にもその考えを伝えてきていた。



トマトの生産を始めたきっかけは、管理栄養士の知人から聞いた話だ。「実はトマトはまだ解明されていない栄養素が多い唯一の野菜であり、新しい栄養素が発見される可能性があるというものでした」(寺阪さん)。そこから興味を持ち、どのようにトマトを生産するか構想を練る中で目にとまったのが、経済誌に書かれていた「アイメック農法」という農法だった。

「アイメック農法」は、早稲田大学と、土の役割を果たすフィルムの開発に成功したメビオールという会社が共同特許を持っている。これにより生産された野菜がおいしいと紹介されており、経済誌を読んですぐにコンタクトをとった。リーマン・ショックなど日本経済の低迷もあり、実際によしかファームを立ち上げてトマト生産を始めたのは、9年後の16年。共和ゴムは目標だった売り上げを達成していた。

「アイメック農法」では、トマトに極限まで水を与えず、ストレスを与えることで、高糖度・高栄養価を実現しているという。そうすることで、トマトは水分を摂取しようと、実や茎に「トリコーム」と呼ばれる産毛を立てて大気中の湿気を取り込もうとする。「トリコ」の名称も、この「トリコーム」に由来している。



新事業の立ち上げでは人にも恵まれた。経営者仲間に吉賀町出身の経営者がおり、事業展開の地域を相談する中で、〝今度、故郷に帰るから一緒に行きましょう。吉賀町ならいくらでも場所はあります〟と誘われた。一泊二日の予定だったが、その知人が事前に経営者仲間や町役場の知り合いなど色んな協力者の方に声をかけてくれており、「行った瞬間から、役場の方も出迎えてくれ〝空いている土地があるので使ってくれて大丈夫です〟と破格で土地を確保することができた」(同)という。その知人の親戚に農業にチャレンジしたいと兼業農家を営む人がおり、「とんとん拍子に場所も人も決まった」(同)という。



一方で、生産するトマトはおいしさを追求するため収穫量が少ないことが課題だった。一般的にトマトは一株から3~4㎏採れるが、収穫量を高めると味が落ちるため、「トリコ」は半分以下の1.5㎏ほどしか採らないという。このため、丁寧に販売しくれる百貨店など高級店を中心にアプローチ。通販やヤフーのECモールでも販売する。

事業が軌道に乗り始めた数年前には、共和ゴムとしても吉賀町に工場をつくった。よしかファームは地場で従業員を雇い地域にも貢献するが、IoTを駆使した農業であるため、生産に1日8時間は必要がない。このため人材をシェアして取り組んでいる。



山が多い吉賀町は、間伐により間引いた材木の処理も課題になっているという。今後は、農場の横に木質バイオマス発電所を作り、未使用間伐材で発電して、FIT(再生可能エネルギーの買い取り制度)を使いつつ、発電で生じた熱をビニールハウスに取り込み重油代を削減するなど、効率よくエネルギーに変えて循環型農業に取り組みたい」と意欲をみせる。


■よしかファーム株式会社■

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「高糖度フルーツトマト『tricho(トリコ)』」

機能性関与成分名:GABA

GABAを20㎎/日摂取すると高めの血圧を低下させる機能、GABAを28㎎/日摂取すると仕事や勉強による一時的な精神ストレスや疲労感を緩和する機能があることが報告されています。

機能性関与成分名:GABAクエン酸

クエン酸を1000㎎/日摂取すると日常生活で感じる疲労感や、運動後の一過性の疲労感を軽減する機能があることが報告されています。