2022 11 28

厳しい寒さの中で甘く育った、目を健やかに保ってくれる「寒締めちぢみほうれん草」

ホクレン農業協同組合連合会


北海道内のJAで組織するホクレン農業協同組合連合会(=ホクレン)は、道産農畜産物のブランド構築やPR、新たな需要の開拓など、道内生産者の支援を行う。こうした中、2022年3月、「寒締めちぢみほうれん草」が機能性表示食品として受理された。機能性関与成分としてルテインの含量を担保し、「光による刺激から目を保護する」といった機能を表示する。

 農畜産物には旬がある。各々の食材の旬に合わせて楽しめるが、旬が終われば来年を待たなければいけない。

 ほうれん草の旬は冬。中でも寒締めのほうれん草は、収穫前に冬の冷気にさらすことで、甘味を引き立て、ビタミンなど栄養価を高める「寒締め」という技術を利用している。栄養を凝縮した厚みのある縮れた葉、高い糖度を特徴にする。これを収穫直後に冷凍加工して商品化したのが、ホクレンが販売する「寒締めちぢみほうれん草」だ。生産地は寒さの厳しい土地柄で知られる旭川市に隣接する東川町。「農産物には旬がありますが、冷凍野菜は最もよい時期に加工し、美味しさを閉じこめられる。通年で旬の味を楽しめることにメリットがあります」とホクレンの担当者佐々木氏は話す。いつでも冷凍庫から取り出し、サッと使える手軽さも人気だ。当年9月から、生産する東川農協の地元、東川町の道の駅で先行販売を始めた。

 道内生産者の支援のため、ホクレンは、機能性表示食品も積極的に活用してきた。17年の「無洗米GABAライス」の初受理をはじめ、道産のかぼちゃやこめ油、たまねぎ、豚肉で機能性表示食品の届出を実現している。

 機能性表示食品は、地元農協の農畜産物に期待できる機能を探索した上で、ホクレンの農業総合研究所でデータ分析を行い、選定を進めている。ほうれん草に含まれるルテインの含量は、品種や産地によっても異なるが、ホクレンが使うのは「雪見菜02」という品種。あらゆる品種を網羅的に調べる中で最もルテインの含量が高く、150gで機能性の担保に必要なルテイン含量10mgを担保できる想定が得られたことから制度活用に取り組んだ。商品には、「アシタのキノウ」という共通のロゴマークを表示。「道産の農畜産物を健康によい商品として認知いただき、販売促進のマークになっていければと考えている」と話す。

 道産の農畜産物の魅力は全国にも浸透する。ただ、近年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、「消費者の消費形態が変化し、道産農畜産物の多くも需要が減退した」という。米の消費停滞や業務用の需要低迷、土産物需要も低下したことで、道産の砂糖や牛乳、乳製品の使用が減少し、在庫も滞留した。「これをしっかり販売していくのがホクレンの使命。消費者の皆様にこれまで以上に北海道の農畜産物を食べていただきたい」と話す。