2026 02 24

有限会社もとや:「倉敷おからクッキー」

有限会社もとや

岡山県倉敷市の南、瀬戸内海に面した児島は、国産ジーンズ発祥の地として知られている。

児島駅には「ジーンズの聖地」と記した横断幕が掲げられ、愛好家たちが国内外から「児島ジーンズストリート」にやって来るという。

今回の取材先は、この地で70年にわたり婦人服店を営んできた有限会社もとやの2代目社長であり、『倉敷おからクッキー』の生みの親でもある福本眞一郎さん。

おからクッキー製造工場でお話を伺ったあと、婦人服「MOTOYA」の店舗内にある「倉敷おからクッキー本店」にご案内いただいた。季節限定商品を含めた65種類以上の味のバリエーションを展開している。

婦人服専門店が作る「おからクッキー」とは?

婦人服と、おからクッキー?ーーまず、この組み合わせが不思議だ。なぜ福本さんは、アパレルとはまるで畑違いの「おからクッキー」を作ろうと思ったのだろうか?

「当時(今から15~16年ほど前)、本業のアパレルがなかなか伸びなくなっていた頃、楽天市場をのぞいたら、ダイエットクッキーとしておからクッキーがブームになっていたんです。おからだったら地元においしい豆腐屋があるので、うちでも作れるぞ。これをアパレルのお客さんに提案して、健康も含めて、みんなにダイエットしてもらいましょう、ということで始めたんです」

アパレル事業の顧客名簿には400人の女性の名前が並んでいる。長年にわたり、婦人服を通して繋がってきたお客さんだ。一人ひとりの好みやライフスタイルまで分かっているその繋がりがあったから、「体型を維持して、これからも好きな服でおしゃれしてほしい」というメッセージを伝えるツールとして、おからのダイエットクッキーはまさにピッタリの商品だった。

最初に”爆売れ”したのは、10年ほど前、楽天市場だった。わずか数時間、売り場のトップページに掲示したことで、なんと1トンもの注文が入った。

当時は1か月に400㎏の生産量だったので、とてもこなせる量ではなかったが、なんと9割のお客さんは待ってくれた。この経験から、今の自社工場を作ることになったという。

「生おから」しか使わないというこだわり

「おからクッキーはどこにでもあるけど、一般的には粉末のおからを使用していて、生おからを原料にしているところは他に知らないですね。うちのこだわりは、厳選した材料で1枚1枚ていねいに手作りすること。手作りならではの温かみが感じられるクッキーになっていると思います」 

とにかく良い原料を使うことに徹する。豆腐屋から毎朝仕入れる国産大豆の新鮮な生おからを使う。おからの水分量は日々変わるので、材料の調整が必要なためオートメーション化が難しく、ほとんどの工程を手作業で行っている。

保存料や着色料は使わない。米粉や小麦粉は岡山県産、鹿児島県喜界島の粗糖、ココナッツオイルや米油など、すべての材料に安全とおいしさを追及している。そして、お母さんが子どものおやつを手作りする気持ちで作っているという。

リピート率はナント驚異の70%!

「リピート率は70%。3人に2人はまた買ってくれる。どんどんお客さんが増えていくので、よりいいものを作らなくちゃ、という思いでいます。

それにこのクッキーは、健康食品なんですから、体に悪いものが入っていちゃいけないわけで。そのうえで、おいしい!また食べたい!と思ってもらえるものを作っています」

置き換えダイエットとして、1個につき25キロカロリー前後で製造している。ダイエットしたい人には「クッキー8個+飲み物+サラダ」や「クッキー8個+野菜スープ」を1食とし、置き換えすることを提案している。

味のバリエーションは65種類。注文をもらってから焼くというのが基本なので、常に65種類の在庫があるわけではないが、季節の味も含めて、たくさんの味を楽しめるのは好評だという。アパレルに春夏秋冬があるように、同じ感覚で季節ごとの味を提供している。

また、小麦粉を使わないで、米粉を使用したグルテンフリーのクッキーもある。小麦粉を食べられない人に向けての商品展開だが、おいしさをいかに維持するかという点に工夫を凝らしたという。

現在、公式サイトや楽天市場での通販のほか、新宿伊勢丹や大阪梅田の阪急など全国の有名百貨店で販売しているが、健康に良いだけでなく、おいしさが評価されているという。

またスポーツジムやスイミングスクールなどの健康意識が高い人々や育ち盛りの子どもたちへ向けても、販売チャネルを拡大している。

自社工場では、40人の職人がフル稼働しているが、地元の障がい者支援として、就労継続支援B型の5社にも協力をお願いしているという。

全国の豆腐屋さんとコラボする意味は?

今後の展望をうかがった。

このおからクッキーで全国の豆腐屋の支援ができないか模索しているという。

「全国の豆腐屋さん、おいしい豆腐を作っているのにやめていく、なかなか世代交代できないところが多い。やはり利益が少ないから。そうしたところにおからクッキーを販売してもらって、利益になれば、続けられるのではないかと思っています」

そうした豆腐屋さんとのコラボが、現在5社あるという。地域に根付いたおいしい豆腐屋のおからは、それぞれに味も違ってくるという。そのおからをあずかってクッキーにして返す、という事業展開だ。

そのひとつに、世界遺産の白川郷で伝統の「石豆腐」を作っている店がある。ここのおからを福本さんの工場でクッキーにして、それを豆腐屋の自社ブランドとして全国に向けて販売しており、好評を得ている。

通常は廃棄するおからを再活用する「おからクッキー」の新たな可能性が、日本の伝統食材を支援するひとつの柱になるかもしれない。

25年春からユーグレナクッキー発売

25年の新たなチャレンジとして、機能性表示食品を受理した『金のユーグレナ』の販売がスタートした。表示された機能性は、「日常生活の一時的な精神的、身体的な疲労感を軽減」というものだ。これは原料に使用している「金のユーグレナ」の機能性だが、「おからクッキー」そのものの健康面での利点もある。

・食物繊維が豊富・・・おからに含まれる豊富な食物繊維が、腸内の善玉菌の”えさ”になる。また満腹感を得やすいので、ダイエットにも向いている。

・低カロリー・低糖質・・・材料の半分をおからにすることで、カロリーや糖質をある程度抑えられる。

・タンパク質の補給・・・おからには植物性たんぱく質が含まれるので、少量だが補給できる。