吉野家HDが“第4の肉”を選んだ理由
吉野家ホールディングス
― オーストリッチミートとコスメが提示する、次代の食と美 ―

「サステナブルフード」という言葉が、もはや一部の意識高い層だけのものではなくなった昨今、外食産業や食品メーカーは、“おいしい”の次の価値を問われています。
環境負荷、食料安全保障、健康寿命。
これらを同時に満たす選択肢として存在感を増しているのが、新しいタンパク源=オルタナティブプロテインです。
「牛丼の吉野家」で知られる吉野家ホールディングスが、2024年夏、新たに打ち出したのは、牛・豚・鶏に続く“第4の肉”ーーオーストリッチ(ダチョウ)ミート、そしてオーストリッチオイルを利用したスキンケアコスメという、次代を見据えた提案でした。
オーストリッチは「環境×栄養」の優等生
サステナブル食品としてオーストリッチが評価される理由は、単に“珍しい肉”だからではありません。
① 飼育効率が高い
成長が早い、飼料効率が良い、広大な放牧地を必要としにくい
② 栄養価が高く、無駄が少ない
高たんぱく・低脂肪、鉄分豊富、抗疲労成分を含有する
③ 「丸ごと使える」畜産資源
ミートだけでなく、オイル・皮・骨・羽根まで活用できる可能性がある
地球の未来を考えるとき、人口増加や気候変動、食料資源の偏在といった課題が顕在化する中、同社が注目したのが畜種分散と持続可能なタンパク源としてのポテンシャルを持つ、オーストリッチだったのです。
“健康価値”を内包するオーストリッチミートの実力
オーストリッチミートが興味深いのは、環境配慮だけでなく、機能性食品としての側面を持つ点です。
SPEEDIA(吉野家HDの100%子会社)による研究で明らかになったのは、オーストリッチミートのバランスの良さ。
- 高たんぱく
- 低脂肪・低カロリー(鶏ささみに近い)
- 鉄分は牛肉並み

さらにモモ肉には、アンセリン・カルノシン(=イミダゾールジペプチド、抗疲労成分)、コエンザイムQ10が豊富に含まれ、疲労軽減や抗酸化、血管老化防止といった機能性が報告されています。
そして、こうした研究成果によって、生鮮食品としては珍しい「機能性表示食品」としても受理されています(2023年6月)。
届出の機能性表示としては「日常生活や身体作業による一時的な疲労感を軽減する機能」が報告されており、 「寝ても疲れが抜けない」「仕事の後、体が重い」と感じる人にとって、疲労回復に効く肉という位置づけです。

吉野家店舗で限定販売の“疲労ケアの肉丼”
そのオーストリッチミートを使ったのが、
「オーストリッチ丼 ~スープ添え~」。

ローストビーフ風に仕上げた赤身肉は、クセがなく、しっとり柔らか。
ホースラディッシュやサワークリーム、卵黄との組み合わせで、“牛丼とは別軸のごちそう感”を演出しています。
吉野家が牛・豚・鶏以外の肉を使った初のメニューという点でも、象徴的な一品です。
飲食会社が本気でつくる「スキンケア」
肌に“届ける力”を持つオーストリッチオイル
もう一つの柱が、スキンケア。
SPEEDIAの研究で注目されたのは、オーストリッチオイルの浸透力でした。
研究では、
- 肌の水分蒸散を抑え
- 水分量を増加
- 美容成分の浸透を大幅に促進
とくにナイアシンアミドは、23倍の浸透効果が確認されています(角質層まで)。

「ブースター」という発想
この特性を活かした代表商品が
「グラマラス ブースターオイル」。
洗顔後すぐに使うことで、その後の化粧水・美容液の“通り道”を整える――いわば、スキンケアの土台づくりです。継続使用で、ハリと潤い感を底上げするとのこと。
ベタつかない軽いテクスチャで、ローズヒップ&フランキンセンスの香りも心地よい。
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他のブースターオイルと⽐較し、オーストリッチオイルは肌への浸透⼒が⾼いため、オ
イルでありながらサラリと肌になじみます。
同シリーズには、 エイジングクリーム、モイスチャーマスクなども展開されています。

「全部使う」からこそ、サステナブル
SPEEDIAの特徴は、ミートとオイルだけで終わらない点。
骨・羽根・皮まで含め、ダチョウを丸ごと活かす研究を進めています。
実際、今後登場予定のハンド&ボディケアミルクには、羽根由来のオーストリッチケラチンを配合。
飲食業の現場で多い“手荒れ”に着目し、無香料で天然由来成分99%以上という設計で、すでに吉野家店舗スタッフが先行使用しています。

食から、美へ。その先の「人の暮らし」へ
オーストリッチミートとコスメ。
一見、異なる領域に見えますが、根底にあるのは同じ問いです。
どうすれば、人の健康と生活の質を、持続可能な形で支えられるのか。
牛丼屋の枠を越え、食・健康・美容を横断する存在へ。
吉野家ホールディングスのオーストリッチ事業は、
その“静かな方向転換”を象徴するプロジェクトと言えるかもしれません。
NPO食品機能性委員会