輸入食品は安全?中国野菜は農薬漬け?
元厚生省、農林水産省技官
中嶋 茂
日本は輸入食品大国で、年間3300万トン以上もの食品が世界中から輸入されています。海外の輸出国では、どのように栽培され製造加工され取り扱われているのか情報を得ることは困難です。また。マスメディアによる輸入食品の危険情報が氾濫する昨今、不安に思われるのは当然です。
では、実際はどうなのでしょうか? それは事実を知ることです。具体的には、食品の輸入に際しどのような検査がなされ安全を確保しようとしているのか、その結果はどうなのかを知る必要があります。
年間250万件以上もの輸入に対し、どの位の検査がなされているのでしょうか?
輸入食品監視統計によれば、検査件数は22万件程度で、全体の8.5%となっています。市民団体等は、わずか1割にも満たない検査で安全が確保できるのかと主張します。では、残り9割は何もなされずに国内で流通しているのでしょうか。 そんなことはありません。
250万件全てに緻密な審査がなされています。どういうことかといえば、食品を輸入する際には原材料、栽培履歴、製造加工方法、輸出国での検査実績等の情報を提出しなければ受け付けてもらえません。これらの情報は全てコンピュータに収録され、輸出国別、メーカー別、食品別等の過去の情報が蓄積されており、容易に疑わしい物か否かが判別できるシステムがあります。また、違反が多い国別の特定の食品に対しては検査命令が発せられ、一定期間全品検査が実施されています。
このように疑わしい品目、初回輸入するもの、輸出国の安全情報などを判断して検査分析が行われ、さらに、問題がない食品もモニタリング検査として年間計画によりランダムに検査されているのです。
このように問題の多い輸出国には、政府間で情報提供や技術指導、支援による改善対策が実施されており、民間の商社等においても現地指導や経済的支援により、より安全で衛生的な商品の開発に取り組んでいます。
また、輸入食品は、国内でも各都道府県衛生当局の重点監視対象となっており二重のチェックがなされています。なお、輸入品の違反率は国産品の場合と同程度なので、輸入食品が殊更危険で問題があるという主張は正確ではないと言えます。